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東京地方裁判所 昭和62年(ワ)2504号 判決

甲事件原告 亀有信用金庫

右代表者代表理事 矢沢洪三

右訴訟代理人弁護士 佐藤孝

乙事件原告 興産信用金庫

右代表者代表理事 中村忠

右訴訟代理人弁護士 及川信夫

同 西内聖

同 吉川純

参加人 屋代孝

右訴訟代理人弁護士 小林雄三

同 渡辺靖一

甲・乙事件被告 堀江嗣男

〈ほか二名〉

右三名訴訟代理人弁護士 柳瀬康治

同 八代ひろよ

主文

一  甲・乙事件被告らの黒子光夫に対する、東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第一一一三八号建物収去土地明渡請求事件の判決の執行力のある正本に基づく別紙物件目録(一)及び(二)記載の建物の収去並びに同目録(三)及び(四)記載の土地の明渡しを内容とする強制執行は、これを許さない。

二  甲・乙事件参加人の参加の申出をいずれも却下する。

三  訴訟費用は、甲・乙事件被告らについて生じた費用の四分の一と甲・乙事件参加人について生じた費用とを甲・乙事件参加人の負担とし、甲・乙事件被告らについて生じたその余の費用と甲事件原告及び乙事件原告について生じた費用とを甲・乙事件被告らの負担とする。

四  甲事件につき東京地方裁判所が昭和六二年一月二二日にした強制執行停止決定はこれを認可する。

五  この判決は、第四項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

(甲事件について)

一  請求の趣旨

主文第一項と同旨

二  請求の趣旨に対する答弁

1 本案前の答弁

甲事件原告の訴えを却下する。

2 本案の答弁

(一) 甲事件原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は甲事件原告の負担とする。

(乙事件について)

一  請求の趣旨

1 主文第一項と同旨

2 訴訟費用は甲・乙事件被告ら(以下「被告ら」という。)の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 本案前の答弁

乙事件原告の訴えを却下する。

2 本案の答弁

(一) 乙事件原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は乙事件原告の負担とする。

(本件参加事件について)

一  請求の趣旨

1 主文第一項と同旨(ただし甲事件原告及び乙事件原告と参加人とにつき合一に確定すべきものとして)

2 訴訟費用は被告らの負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文第二項と同旨

第二当事者の主張

(甲事件について)

一  請求の原因

1 被告らは、黒子光夫に対する東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第一一一三八号建物収去土地明渡請求事件の判決の執行力ある正本に基づき、昭和六二年一月一四日、執行文の付与を受け、別紙物件目録(一)ないし(四)記載の不動産に対する建物収去土地明渡の強制執行(以下「本件強制執行」という。)を行うおそれがある。

2(一) 被告らは、黒子光夫に対し、昭和四八年四月以前に、建物所有の目的で、被告ら所有の別紙物件目録(三)記載の土地(以下「本件第一土地」という。)及び同目録(四)記載の土地(以下「本件第二土地」という。)を賃貸した(以下「本件賃貸借契約」という。)。

(二) 黒子光夫は、本件第一土地上に同目録(一)記載の建物(以下「本件第一建物」という。)を、本件第二土地上に同目録(二)記載の建物(以下「本件第二建物」という。)をそれぞれ所有している。

(三)(1) 甲事件原告は、昭和四八年四月一七日、黒子光夫から、本件第一建物につき次のとおり根抵当権の設定を受けた。

ア 極度額 一五〇〇万円

イ 債権の範囲 信用金庫取引、手形債権、小切手債権

ウ 債務者 黒子光夫

(2) 甲事件原告は、昭和五七年一二月二八日、黒子光夫から、本件第二建物につき次のとおり根抵当権の設定を受けた。

ア 極度額 五〇〇万円

イ 債権の範囲 信用金庫取引、手形債権、小切手債権

ウ 債務者 黒子光夫

3 異議事由について

被告らは、黒子光夫に対し、地代不払いを理由に、公示の方法により本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、右意思表示は昭和六一年一〇月九日黒子光夫に到達したものとみなされたと主張して、第1項で述べた東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第一一一三八号建物収去土地明渡請求事件を提訴したものであり、東京地方裁判所は右主張事実を認定して被告らの右請求を認容する旨の判決を言い渡したものである。しかしながら、次に述べる各事実によれば、黒子光夫の地代の不払にもかかわらず本件賃貸借契約について信頼関係が破壊されたものと認めるに足りない特段の事情が存するものというべきであるから、右解除の意思表示は無効である。

(一) 被告らの代理人堀江伊登(以下「伊登」という。)は、昭和五七年一二月、黒子光夫が甲事件原告に対し本件第一及び第二建物を債務の担保として提供することを承諾しており、その際甲事件原告に対し、黒子光夫が地代を滞納している事実をなんら告げなかった。

(二)(1) 甲事件原告は、昭和六〇年、東京地方裁判所に対し、本件第一及び第二建物について前記各根抵当権の実行としての不動産競売の申立てをし、東京地方裁判所は同年一二月一三日不動産競売開始決定をした。

(2) 甲事件原告は、東京地方裁判所から黒子光夫が被告らに対して本件第一及び第二土地の地代を滞納している旨の連絡を受け、昭和六一年八月五日、被告らに対して、黒子光夫に代位してこれを支払う旨弁済の提供をしたが、被告らはこれを拒絶しただけでなく、滞納が昭和四八年四月ころから始まっていると言うにとどまり、地代の滞納額を明らかにしなかった。

(3) 黒子光夫は、昭和六一年八月二五日から行方不明となった。

(4) 甲事件原告は、東京地方裁判所に対して、昭和四八年四月分から売却許可決定に基づく代金納付の日までの地代代払許可の申立てをし、昭和六一年九月二四日、同裁判所より、地代代払許可決定を得た。甲事件原告は、右地代代払許可決定に基づき、昭和六一年一〇月三日、昭和四八年四月分から昭和六一年一〇月分までの滞納地代額を東京法務局に供託した。

(三)(1) 被告らは、黒子光夫に対し、地代不払を理由に、公示の方法により本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、右意思表示は昭和六一年一〇月九日黒子光夫に到達したものとみなされたと主張して、1項で述べた東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第一一一三八号建物収去土地明渡請求事件を提訴した。

(2) 右訴訟の提起の日は、黒子光夫が行方不明となった日のわずか七日後である昭和六一年九月一日であり、その手続は公示送達手続によって行われている。

(3) 被告らは、甲事件原告が根抵当権に基づく前記競売手続を進めていた事実及び前記解除の意思表示の効力発生前に甲事件原告が滞納地代を供託した事実を熟知していながら、右訴訟を進行させたものである。

(四) 以上の事実を総合すると、被告らは、黒子光夫の行方不明を奇貨として本件第一及び第二建物を収去して本件第一及び第二土地を更地とするとともに、甲事件原告の根抵当権を消滅させて、多大の利益を得ようとしたものであることは明らかである。

よって、本件強制執行は、その目的と手段とにおいて甲事件原告の本件第一及び第二建物に対する根抵当権に対する違法な侵害というべきであるから、その排除を求める。

二  請求原因に対する認否

(被告らの本案前の主張)

甲事件原告は、本件第一及び第二建物について根抵当権を有するにすぎない者であり、本件第三者異議訴訟における原告適格を有しない。

(被告らの本案の主張)

1  請求原因1の事実のうち、被告らが、黒子光夫に対する東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第一一一三八号建物収去土地明渡請求事件の判決の執行力のある正本に基づき、昭和六二年一月一四日執行文の付与を受けた事実は認める。

2  請求原因2の事実について、(一)及び(二)は認め、(三)は知らない。

3  請求原因3の事実について、(一)及び(二)(1)は認める。(二)(2)のうち甲事件原告が東京地方裁判所から地代滞納の事実の連絡を受けたことは知らないが、その余の事実は認める。(二)(3)及び(4)の事実は認める。(三)(1)及び(2)は認める。(三)(3)は否認する。(四)は否認する。

三 抗弁(強制執行の違法性を基礎付ける事実に関する障害事実)

1  黒子光夫は、昭和四八年七月以降本件賃貸借契約に基づく地代を滞納し、また、右延滞地代の支払を確約して被告らに担保提供についての同意をさせておきながらその約束を守らなかったものであるから、被告らが解除の意思表示を行った時点で既に本件賃貸借契約における被告らと黒子光夫との間の信頼関係は破壊されていた。

2  被告らは、黒子光夫に対し、甲事件原告の供託に先立つ昭和六一年一月中旬ころ、口頭で解除の意思表示をした。

四 抗弁に対する認否

抗弁1及び2の事実はいずれも否認する。

(乙事件について)

一  請求原因

1 甲事件請求原因1のとおり。

2(一) 被告らは、黒子光夫に対し、昭和五六年一二月一日以前に、被告ら所有の本件第一土地及び本件第二土地を、建物所有の目的で賃貸した。

(二) 甲事件請求原因2(二)のとおり。

(三)(1) 乙事件原告は、昭和五六年一二月一日、黒子光夫から、本件第一及び第二建物につき次のとおり根抵当権の設定を受けた。

ア 極度額 五〇〇万円

イ 債権の範囲 金融取引

ウ 債務者 黒子光夫

(2) 乙事件原告は、昭和五七年一〇月四日、黒子光夫から、本件第二建物につき次のとおり根抵当権の設定を受けた。

ア 極度額 五〇〇万円

イ 債権の範囲 金融取引

ウ 債務者 黒子光夫

3 次に付加する外は甲事件請求原因3と同一である。

(一) 被告らは、昭和五七年九月六日、黒子光夫が本件第一及び第二建物を同人の乙事件原告に対する債務の担保として同人に提供することを承諾し、その際、乙事件原告に対し、黒子光夫には地代の延滞はないと告知した。

(二) 乙事件原告は、昭和六〇年九月、東京地方裁判所に対し、本件第一及び第二建物について前記各根抵当権に基づく不動産競売の申立をし、同月五日、不動産競売開始決定を得た。

よって、本件強制執行は、その目的及び手段において乙事件原告の根抵当権を違法に侵害するものということができるから、その排除を求める。

二  請求原因に対する認否

(被告らの本案前の主張)

乙事件原告は、本件第一及び第二建物について根抵当権を有するにすぎない者であり、本件第三者異議訴訟における原告適格を有しない。

(被告らの本案前の主張)

請求原因2(三)は知らない。その余の請求原因に対する認否は甲事件の請求原因に対する認否と同様である。

三 抗弁

甲事件の抗弁と同一である。

四 抗弁に対する認否

甲事件の抗弁に対する認否と同一である。

(本件参加事件について)

一  請求原因

1 甲事件請求原因1のとおり。

2(一) 甲、乙事件原告当事者参加人(以下「参加人」という。)は、金沢正剛に次のとおり計三一八五万円の金員を貸付けた。

(1) 貸付日 昭和六二年四月二〇日

金額 九〇〇万円

弁済期 昭和六二年八月三一日

(2) 貸付日 昭和六二年五月三一日

金額 四五〇万円

弁済期 昭和六二年九月三〇日

(3) 貸付日 昭和六二年五月三一日

金額 四八〇万円

弁済期 昭和六二年九月三〇日

(4) 貸付日 昭和六二年一〇月二一日

金額 一三五五万円

弁済期 昭和六二年一二月二〇日

(二) 黒子光夫は、参加人に対して、金沢の右各消費貸借契約に基づく債務につき保証した。

(三) 黒子光夫は、昭和六三年一月二二日、参加人の承諾を得て右保証債務の弁済に代えて本件第一及び第二建物の所有権を参加人に移転した。

よって、参加人は甲事件及び乙事件に共同訴訟参加して被告らによる強制執行の不許を求める。

二  被告らの本案前の主張

参加人の参加の申出は、次の理由によりその要件を満たさない。

1 被告らは、昭和六一年一二月二三日、別紙物件目録(一)ないし(四)記載の不動産に対する建物収去土地明渡請求事件の被告ら勝訴判決を得たが、これは昭和六二年一月七日確定したから、参加人は、本件第三者異議訴訟における原告適格を有しない。

2 複数の第三者による各第三者異議訴訟においては、合一確定の必要性がない。

第三証拠《省略》

理由

第一甲・乙事件について

一  本件各第三者異議の訴えの適法性について

1  原告適格について

抵当権者は、その目的物に対し金銭の支払を目的とする債権についての強制執行が実施された場合は、当該執行手続の中で優先弁済を受ける地位を有するのであり、その実施によってなんら権利の侵害を受けるものではないから、その不許を求めるために第三者異議の訴えを提起することができないと解される。金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行が実施される場合においても、右強制執行が目的物の引渡し又は明渡しの強制執行のときは、その実施によって抵当権が侵害を受けるものではなく、抵当権者は、右と同様に、第三者異議の訴えを提起することができないというべきである。しかし、抵当権の目的物の収去についての代替執行のときは、右強制執行が実施されれば、目的物が取り壊されることにより権利の実質が損なわれることが明らかであるから、直ちに前記の各場合と同様に解することはできず、右強制執行が実体法上抵当権に対する違法な侵害に該当するときには、抵当権者は、そのことを理由として第三者異議の訴えを提起することができると解すべきである。しかして、本件のように、土地の賃貸借契約が締結され、同土地上に右賃借権を敷地利用権とする建物が存在する場合において、賃貸人が右賃貸借契約の解除を理由として賃借人を相手に建物収去土地明渡しを求める訴えを提起し、右請求を認容する確定判決又は仮執行宣言付き判決を債務名義として建物収去土地明渡しの代替執行を実施しようとするときは、右賃貸借契約の解除が有効になされていないとすれば、建物の抵当権者は、右強制執行の実施により自己の権利を違法に侵害されることとなるから、右賃貸借契約の解除が有効になされていないことを理由として第三者異議の訴えを提起することができると解すべきである。したがって、本件賃貸借契約の解除が無効であることを理由として提起した甲事件原告及び乙事件原告の各第三者異議の訴えはいずれも適法であるというべきである。

2  第三者異議の訴えの提起の時期について

第三者異議の訴えは、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行の不許を求める場合には、強制執行が開始されることによってはじめて対象が特定されるのであるから、その開始以前に提起されたときは不適法として却下を免れない。しかし、物の引渡し又は不動産の明渡しの強制執行については、債務名義が成立することによってその対象が特定しており、その実施をあらかじめ排除する必要があるから、強制執行の開始を待つまでもなく直ちに第三者異議の訴えを提起することが許されると解される。本件のように、建物収去及び土地明渡しを内容とする代替執行についても、右と同様にその開始以前に第三者異議の訴えを提起することができるというべきである。

二  本件賃貸借契約の解除の有効性(異議事由)について

1  被告らの代理人堀江伊登が、昭和五七年一二月、黒子光夫が甲事件原告に対し本件第一及び第二建物を債務の担保として提供することを承諾し、その際甲事件原告に対し、黒子光夫が地代を滞納している事実を告げなかったこと、甲事件原告が、東京地方裁判所から黒子光夫が被告らに対して本件(三)及び(四)土地の地代を滞納している旨の連絡を受け、昭和六一年八月五日、被告らに対して、黒子光夫に代位してこれを支払う旨弁済の提供をしたが、被告らがこれを拒絶したこと、黒子光夫が昭和六一年八月二五日から行方不明になったこと、甲事件原告が、東京地方裁判所に対して、昭和四八年四月分から売却許可決定に基づく代金納付の日までの地代代払許可の申立てをし、昭和六一年九月二四日、同裁判所から、地代代払許可決定を得たこと、甲事件原告が、右地代代払許可決定に基づき、昭和六一年一〇月三日、昭和四八年四月分から昭和六一年一〇月分までの滞納地代額に相当する金額を東京法務局に供託したこと、以上の事実は当事者間に争いがなく、右供託が、被告らの行った、黒子光夫に対する公示の方法による本件賃貸借契約解除の意思表示の到達したものとみなされる日(昭和六一年一〇月九日)に先行していることは明らかである。

《証拠省略》によれば、被告らから本件第一及び第二土地の管理並びに本件賃貸借契約に関する事項について代理権を与えられていた堀江伊登が、黒子光夫から窮状を訴えられ、同郷のよしみから、長年にわたる地代の滞納にもかかわらず本件賃貸借契約の解除に踏み切らなかったこと、しかるに、本件第一及び第二建物の競売という事態に至り、被告らが本件賃貸借契約の解除の意思表示を行うことに踏み切ったものであること、以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

しかして、右認定の各事実に基づいて考えると、被告らが公示の方法により解除の意思表示を行うべく手続を取った時点では本件賃貸借契約の解除原因が存したのであるが、右意思表示の到達したものとみなさる日よりも前に前記供託がなされることにより、被告らの代理人堀江伊登が昭和五七年一二月の時点で黒子光夫が甲事件原告に対し本件第一及び第二建物を債務の担保として提供することを承諾したという事実とあいまって、本件賃貸借契約については信頼関係が破壊されたものと認めるに足りない特段の事情が存するに至ったものというべきであるから、被告らによる右解除の意思表示は無効である。

被告らの抗弁1の主張事実をもってしては右判断を左右するに足りない。

2  証人堀江伊登の供述中には被告らの抗弁2の主張に副う部分があるが、弁論の全趣旨によれば、被告らが、黒子光夫に対し、公示の方法により本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、右意思表示は昭和六一年一〇月九日黒子光夫に到達したものとみなされたと主張して、第1項で述べた東京地方裁判所昭和六一年(ワ)第一一一三八号建物収去土地明渡請求事件を提訴し、東京地方裁判所が右主張事実を認定して被告らの右請求を認容する旨の判決を言い渡したものであるところ、右訴訟において被告らが堀江伊登による口頭の解除の意思表示の事実をなんら主張・立証しなかったという事実が認められ(右認定に反する証拠はない。)、右事実に照らして考えると、証人堀江伊登の前記供述部分はたやすく採用することができず、他に被告らの抗弁2の主張事実を認めるに足りる証拠はない。

第二本件参加事件について

本件各第三者異議の訴えの目的は、甲事件原告及び乙事件原告と参加人との間で合一に確定すべきものとはいえず、また、参加人は、被告らと黒子光夫との間の前記訴訟の判決の確定後に本件各建物及び借地権を譲り受けたことを主張するものであって、参加人の共同訴訟参加の申立ては不適法であるといわざるを得ない。

第三結論

以上の次第であって、甲事件原告及び乙事件原告の本訴請求は理由があるから認容し、参加人の共同訴訟参加の申立ては不適法として却下し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九三条を、主文第四項に対する仮執行の宣言につき民事執行法三八条四項、三七条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 髙世三郎)

〈以下省略〉

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